新たな出発

前職の超特異空間、異次元空間から解放されること二週間。新たな仕事場に移った。新しいが、見たことも無い空間ではない。コンピュータの世界に舞い戻ったわけだ。あまりにも前職がコンピューターから離れていたために逆に急速に恋しくなったということもある。ことによると、夏ぐらいから、その思いは強くなって行った。

続きそうなのかと言えば、やれると思うと答えるだろう。問題は私の年齢だろう。定年が近いだけに、その後を心配しなければならない。私はやる気満々だと面接時に言っておいた。だから、死ぬまで働きたいのだが、会社のルールとしてはできないということ。どうするか、今から考えておかなければならない。じっとしておれば定年で終わりだ。営業しかないだろう。

時折、前職の広大な空間を思うことがある。確かに体を使い汗を流すので健康的だった。私が珍しく腹が減り、眠れる仕事だったのかもしれない。ただ、冗談のように給料が安過ぎたのだった。続けられないと思った。今度の所もそんなにいいわけではない。普通に戻っただけのことだ。

今日はツレと何十年ぶりかに昼間に会った。やはり、ツレには報告しておきたかった。私がやる気満々でいることを知っておいて欲しかった。その後の野望のことも話した。あまり現実的ではないのだが、私が目指すべき方向だった。やがて私が人を雇うようになるとしたら、この方向だった。

おいおい明らかになると思うが、仕事場も複雑な構成だった。単に労働者として働くと長くはもつまい。現にそれで辞めて行く人も多かったようだ。高齢の私があえて採用されたのも一説にはそういうことがあるらしい。目標が無いとしんどい仕事だ。といって目標はあくまでも目標で実現可能性があるわけではない。どこまでも目標なわけだ。だが、私はあきらめないだろう。

それよりも一緒にやれる仲間が新たな仕事場にいるのかどうかを見ている。儲かる仕事ではないので会社としても目の色を変えるようなことは無いだろう。しかし、この街を楽しいものにするのではないか。閉塞感でいっぱいのこの街を開放的にするのではないか、そんな思いでいる。やる気のある人間が引っ張って行けばいい。新たな伝統を作ればいい。

しばらくは慣れるのに忙しいが、私は少しも気後れしてはいない。岡山でこれまでやって来たどんな仕事よりもやりやすいと感じている。まさに望んでいた仕事だったのだ。どういう意味で採用されたのかやがて明らかになるだろうが、気にしない。私は次の仕事をやり続けるだけだ。

リハビリ

仕事を終えて数日、リハビリ期間を過ごしている。特に何かをやっているわけではないが、コンピューターに浸かる生活を目指している。プログラミングをやらなくてもいつでも復帰できるようでありたい。

体力はあるはずなのだが、ちょっとしたことで睡眠不足になりやすいのは相変わらずだ。そのためのアロマもあるので心配はしていないが、できればそんなこともないようでありたい。現実には動き出せばある程度は何とかなると思っている。仕事が始まればということだ。

問題は私ではないと思っている。私が元気になり手をさしのべなければならない人がいる。早くそうなりたい。今の私では力不足なのだ。仕事すらアップアップだからだ。他人に仕事をやってもらうような身分ではないのだ。ただ、私が得て来た知識ならば少しでも伝えられる。

いい感じではある。私の調子良さは物欲と関係ある。やる気が出ると色々と欲しくなる。パソコンもそうだ。今なら情報収集ツールとしてのタブレットが欲しい。しかも、無駄に欲しいのだからますますいい感じだ。無駄遣いというのがキーワードだ。じっくりと検討している間がいい。

ともあれ、そんなに時間はない。数日のうちには現場復帰だ。今度は野山を駆け巡るのではない。コンピューターの情報の海を泳ぐことになる。簡単ではないだろう。

ミレニアム以前

2000年以前に仕事場で知り合った仲間とグループで遊んでいた。私はそこで出会った女性に入れあげたのだが、彼女には相手がいた。ちょうど彼女のお姉さんもグループに加わっていたこともあり今度はお姉さんに入れあげた。そして、相手にもされなかった。しばらくはいい関係だったのだが、一度大島に遊びに行った時からこじれてしまった。私が大声を出してしまったからなのかもしれない。私は仕事場で大声を出す連中を危ない人間と言うのだが私自身も大声を出していたのだった。

私としては忘れたい記憶だったろうから最近まで忘れていた。しかし、311の年に姉妹と再会した。妹は当時も音楽をやっていて久しぶりにミニコンサートをするからと私も呼ばれたのだった。仕事場の仲間とも再会して懐かしかった。その時に聴いた音楽が妙に思い出されてiPodに残っていた音源を聴いてみたが本当に懐かしい。元々ハードロックの人だったが、出産を機会にかバラードになっていて私好みの歌だったのだ。声は好きになっただけあり、女っぽい甘い声だ。

彼女にだけは東京から離れる時にお礼のメールを出して帰って来た。別に愛情があるわけではないのだが、彼女の生き方なのか優しさにあふれていた。そしてお礼も優しくしてもらった気がすると書いた。お姉さんと妙な雰囲気になっても私とは普通に接してくれていた。私の東京に対するイメージとは異なる温かい人だと感じた。私が入れあげたのも無理もなかった。私に稼ぎがあってもっと早く出会っていたら私の本当の人になってくれていたのかもしれない。

これから新しい出会いもある環境に移るわけだが、彼女のことを思い出したのは偶然ではないような気がする。私が東京に出て行ったのはもう20年も前になる。当時はとてつもなく異常な世界に入るという思いで一杯だった。そこで出会えた温かい彼女にほれ込んだのは当然だった。

派遣

この際、派遣でも何でもやってやる！とばかりにいくつかの派遣にも登録した。しかし、芳しくはない。ある派遣は行っただけで何のコンタクトも無い。最初から嘘をつかれたので行く気が失せた。次のは、最初こそ食いつきは良かったが、電話連絡で終わり。次は、現地見学へも行ったが私がなかなか就職には難しいことを知るとあっさり連絡無し。結局、派遣では難しいことを知った。相手も出来るだけ安く使える若い人間を求めているようだった。現場の人間の顔つきを見るとかなり険しい。

私が復活を目指す所は派遣ではないが、同じようなものと考えて臨んだ方がいいだろう。全ての職場は年寄りを望んではいない。やはり若さが一番なのだ。特別に何か出来るならともかく、普通のことしかできない年寄りは始末が悪いようだ。

まだまだ私がプログラミングに復帰できるのは先の話だろうが、またコンピューターに触れられる喜びは大きい。iPadでもよくよく見るとちゃんとできており、こういうマシンで自分が作ったデータを見せたいという思いは強い。

沖縄にも私の構想を打診してみたいが、やはり無視されるだろうか。沖縄こそ行政からして私と同じ方向を向いている。データを作り市民に提供することは意義のあることだが、金儲けにはならない。費用がかかるだけだ。そこをどう判断するかだろう。普通には要らないとなるが、儲かることだけが仕事ではないのだ。やがて構想を持ちかける日が来ると思っている。抗議行動と違い、費用を要求することになるのでちょっと気がひけるのは事実だ。

不安になる

新しい仕事に就けるとして、実際にはどうなのかということが気になる。当然のことだ。私も時間が無いだけにこれをきっかけにコンピュータの仕事を全面的に再開したいくらいだ。現実にそんなことができるのかどうかやってみなければわからない。だが、これから徐々に準備をして行くつもりだ。やはり、いつでもそういう準備があるというのは違うと思うから。

私の場合、基本的な生活もここで建て直して行かなければならない。もう数年シャツなども買っていない。昔ならば、近くにユニクロがあったので岡山に帰るたびに追加していた。年々、買うものが少なくなっていたユニクロだったが、とうとう買うことすらできなくなっている。Tシャツもすでにヨレヨレだ。最近、散髪でシャツの襟元を見られることがあったので非常に恥ずかしかった。もう、ボロボロになっている。私はシャツやズボンが破れていても気にならないのだが、さすがに近くで見られると辛い。

防寒着や手袋などは仕事に合わせて少しだが購入していた。むしろ、そちらの持ち物を見るとお金のある人のようだ。今年初めの寒さをしのぐのはさすがに難しかった。だから、かなり暖かい服を買ったものだった。昔買っていた軍服が最も役立ったのだが。

靴なども私がお金をかける分野だ。ブーツにもどれだけつかったか。しかし、この数年は買えていない。新しいことを始めるには一二足ないとすぐに傷んでしまう。

小さな不安だ。しかし、今はこんなことすら不安なのだ。今年中にこの不安な状況から脱することができるのか。それはひとえに仕事にかかっているだろう。私はがむしゃらにやるつもりだ。やれることは何でもやって行く。生活がかかっているだけに。