女

女と仕事ということについて最近、考えることが多い。男と違い、ある意味本音で生きているので非常に扱いが難しい。女どうしの冷たい戦争が始まったら、男はどうしていいのかわからなくなる。男の場合、本気で争うと暴力になり最悪の場合、殺し合いにまで発展しかねない。そのため、争いを避けるために本音はひた隠しにして生きているし、そうして来たのではないかと思う。

女にはどんな仕事が向いているのだろうか。基本的には、男と大差ないと思っている。ただ、女は男ほど挑戦する気持ちは無いように思われる。やはり、現実的に生きる人が多いので、ガキじゃあるまいし、無謀な挑戦は避けるのだろう。そこは、男と協力すれば結果的にいい仕事の成果が残せることが期待できる。

小さな会社をやっていて思うのは、いかに女の能力を引き出せるか、にかかっているように思う。男から見れば、ものすごく気むずかしい部分もある相手なのだが、彼女たちが笑って仕事をやれる環境というのが、結果的に男にもやさしい環境だと思っている。問題は、ほとんどのおぢさんたちは、そうは思っていないということ。

私もそのおぢさんの一人なので、少し前までは女の能力というものを見くびっていた。しょせん、出来ることはしれているのではないかという思い上がった見方をしていたのだった。しかし、今の仕事を通じてそういう考えは、大きな間違いであることを確信した。仕事全体を見渡すセンスは男を越えるし、ピンチに陥った際の度胸の良さは男の比ではない。

ただ、あまりに単調な仕事、仕事環境を放置していると不満は高まり、やがてはその仕事そのものを捨て去ることにつながる。男ならば、全く同じ環境で何の進歩も無くてもそこに「安住」してしまうことだろう。女にとって楽しくないことは持続できないのだ。実は、男も同じ事なのだが「変える」度胸が無いだけのこと。言うまでもなく、変化できないものは生き残れない、のだ。

普通の感覚では、当たり前のことだが、女は心の無い言葉を見抜いてしまう。形だけの「ありがとう」は通用しない。男は、アホなので形だけのやりとりで「わかって」しまう。実は、少しも心がこもっていない言葉でも言われると真実だと理解してしまう。女は、男と違い言葉一つとっても「深読み」するのでなかなか難しいと感じる。

接し方も難しい。一人一人、まんべんなく、公平に接しなければたちまち問題になる。私にはこれができないので能力的には指導者にはなれない。他人に合わせるということができないので、どうしても気に入った人としか話せないし、無理にやってもそれこそ、「心が無い」のでわかってしまうのだ。

指導者として失格者の私の経験から言えば、女には独特の共有観念とも言うべきものがあり、特に話をしなくとも「接する」ということが必要だ。一日中、同じ顔ぶれで特に話をするでもない、というのが最悪の環境と言える。ダラダラと話をするのでなくてもいいので複数の人間と仕事でやりとりがあるというのが好ましい姿なのだ。そうしなくてもいい仕事もあるのだが、それならそれで一日の中でも変化が必要だ。

しかし、仕事場で必要なことの核心は何かと言えば、「愛」だ。ちょっとしたやりとりにも心からの「ありがとう」が言えるかどうかだ。男のように心がこもっていなくともそう言われれば納得してしまうバカはともかく、女は本心を見抜いてしまう。「愛」の無い仕事場は、捨て去られるだろう。

同時に個人個人の私生活においても同様な注意が必要だ。私生活まで会社が関わることはできないのだが、男は、趣味や仕事に生きるということで納得できる。だが、女はそうではないことをよく自覚して生きなければいけないということだ。可能な限り、相手を見つける努力、見つかるようなチャンスを作ることが必要だ。ただ、私もこの件には手を焼いているのだが、探そうとしても難しいらしい。結婚は、探すのではなくて、「拾う」ものだそうだ。その意味で万人に等しくチャンスはある。出来る限り、足を使って「拾って」もらいたい。