価値ある睡眠不足

夕べ寝たのは、午前4時だった。4浪までつき合った、元クラスメートから電話があり、思わず話し込んでいた。「さんまのヤンタン」を心地よく聞いていた。ナイターで始まりが遅くなったので12時近くまで聞く予定だった。それが終われば速攻で寝ようと思っていた。先週の睡眠不足がたたって、目の下がぴくぴくする症状が出ていたから。これは、ぐっすり寝ろという合図だ。

元クラスメートは、航空自衛隊勤務で、あと三年もすれば「定年」だという。自衛隊員は「元気」でないといけないので公務員といえども「定年」は54歳と早く設定されているという。しかも、一定の役職以上でなければ、次の就職先は無いに等しいとのこと。最初は、仕事のグチかと思っていたら、段々と家族の話に移っていった。転勤があるため、単身赴任だとは聞いていたが、なんとヨメさんとの仲も危うくなっているのだという。毎年来る年賀状が届かなかったので何かあったのだとは思っていたのだが。

彼が嫁さんとの仲が危うくなったという理由を聞いて本当に深刻だと思った。下品な言い方をあえてするのだが、「やらせてくれない」というのが原因だ。私が深刻だと思うのは、これが彼だけではないからだ。「性の不一致」というのは、結局、離婚への導火線にならざるを得ない。嫁さん側は、「いい加減に卒業して欲しい」と言うのだという。つまり、セックスは子供を作る時だけにしてということらしい。私がもし、結婚していたら同じことで離婚あるいは離婚の危機を迎えていただろうと思う。

ただ、数年前に真剣に離婚を念頭に話し合ったらしいが、奥さんは離婚には同意していないそうだ。子育てのことや、生活費、退職金、年金などが念頭にあれば、こんなところでみすみす別れてたまるか、ということなのだろうが、それにしても「性の不一致」は立派な離婚理由になるのではなかったか。私の知り合いには、この問題で実際に離婚した人もいるし、親友は子供ができて、これからがかわいいというところで離婚する羽目になった。夫婦の問題なので根掘り葉掘り聞いているわけではなにのだが、何年もセックスが無かったと聞いた。

ここには、男と女のセックスについてのとらえ方の根本が横たわっているのは明らかだが、それにしても3人も子供を作っておきながら、何か手を打てなかったのかと思えてしまう。もちろん、自分のことは棚に上げての発言なのだが。私が結婚していても、自らの性欲と拒絶する嫁さんを前にして錯乱状態になるのに決まっているからだ。

私は、本気でアダム徳永氏の理論を学びたくなった。以前、本で「スローセックス」というのを読んでなるほどと思ったのだが、その時はそういう「やり方」もあるというくらいにしか受け取っていなかった。しかし、事態は深刻だということ。私も、相手がいないから露見しなかっただけで、相手がいれば、即、三行半を突きつけられていたことだろう。

そばにいるだけで温かさが伝わってくるような私の親友が、嫁さんに対するセックスで粗雑だとは考えにくい。経験の乏しい私ならともかく、彼は百戦錬磨だ。アダム徳永氏の理論に従うならば、この国の男のほとんどが本当のセックスを知らないのだという。「射精」中心のセックスのため、当然、女は何もいいことがなく苦痛なだけなのだという。誰かに相談できるわけでもなく、いつしか「離婚」への導火線につながることになるのだろう。私の周りには、おそらくそれが原因ではないかという離婚経験者がたくさんいる。

私の疑問は、確かにアダム徳永氏の言うように男はセックスを知らないかもしれないが、そこは夫婦のことでもあり、「どうして欲しい？」「どこが気持ちいい？」という会話くらいあるのではないかと思うわけだ。そうして、「性の不一致」はある程度、解消されて行くはずだと思うのだ。この点は、既に時間も経っていることもあり、親友に聞いてみたいと思っている。

女にはわからないかもしれないが、男の性欲は「卒業」などできるものではなく、それこそ死ぬまで続く。従って、その気が無くなるということは、「死」を意味している。そのくらい重要な現象なのだ、スケベな気分になるということは。表現がお下劣なことは十分、反省する必要があると思うが。