バランス

なんでもバランスは大事だが、新年を迎えてこのかた目立った買い物をしていない。無駄なものを買うことが得意な私には「異常」なことだ。私自身は、決して今の状態をいいとは思っていない。人間、欲望の固まりだというのが私の実感だ。私自身、日々、激しい欲望と共に生きていることを感じる。

もちろん、すべてが思い通りになるはずもなく、そのほとんどは自制しつつ生きている。皆さんそうしているのではないかと思う。買い物をしたいという欲望も数ある欲望の一つに過ぎず、これまた何でも手に入ると思ったら大間違いだ。大金持ちの体験談だと、あまりに何でも手に入れてしまうと、今度は何も欲しくなくなるのだという。ジャッキー・チェンの話だ。

私などは、零細企業の経営者であり、その意味では日々、ギンギンに欲しいモノがあり、こっそり買っては失望しを繰り返してもいいのかもしれない。だが、ちょうど買い物をするには「凪」の時期だということも手伝ってちょっと困っているというのが本当の所だ。三線に興味を示してみたものの、本物を手に入れるには、沖縄に行くしかないようだ。

私が不満なのは、自分がコントロールしていない状態にあるからだ。強烈に欲しいものがあって、内心買いたいがそんなに買うばかりしてはいけないという葛藤の中でぎりぎりの選択を迫られる、というのが私の「いい状態」なのだ。もちろん、葛藤に破れて何でも買いまくるというのもだめだ。それは、うれしいけれどもうれしくない状態なのだ。

来週以降、カメラの新製品が目白押しだそうだから、だまっていても葛藤が始まる。そのうち、パソコンも新調したくなり、そうこうしていると新しい笛を買いたいということにもなる。買い物というのは、連鎖反応なので芋づる式に増えるのだ。そして、いつの間にか部屋はゴミ屋敷になって行く。

今年になって、iPadの発表などがあり、コンピュータ関連に投資してもいいような気分になっている。コンピュータの新調とか、まさにiPadを買うとかiphoneを導入するとかだ。実際、仕事にも使うし、プライベートでも重要なツールなのだ。仕事にも使え、日常の生活にも便利だというのが、かなりお得感がある。

仕事上仕方がないのだが、コンピュータは仕事を離れるともっと楽しくなるのに、という思いは強い。仕事がからむとストレスの度合いが違う。特に、はまった時のそれは激しい。仕事場に出るのがつらくなるくらいだ。かつて、何度そういう経験をしたことか。コンピュータに全く興味の無い連中と仕事をしていたので相手は、事情などわかろうともしない。私でもかなりのストレスをためていたように思う。

そんな時、まだ歩行者天国のあった秋葉原へ行くのが私のストレス解消方法だったような気がする。田舎もんにはやさしい街だったようだ、秋葉原は。ゴミゴミして胡散臭いが、どこか間の抜けた街という感じか。アキバヨドバシができてくらいから、あまり行かなくなった。アキバヨドバシには行くのだが、かつてのような田舎もんにやさしい街ではなくなった。

今は、歩くことで何とかバランスを保とうとしているのだが、ストレスの方が数段勝っているような気がする。さらに、笛や三線、カメラを持ち出さなければ、ストレスを解消できそうにないようだ。おもしろいことに、ストレスがたまって具合が悪くならなければ、自分の状態に気がつかない。しかし、そこから回復するのがなかなか時間がかかり、苦しいものだ。睡眠もバランスを崩すとけっこう回復までに時間がかかる。調子の良いときは、いとも簡単に済ませられるのに、調子が悪い時には眠れないことがものすごく苦痛に思える。

仕事とプライベートのバランスもなかなかたいへんだ。頭ではわかっているのだが、そう簡単に切り替えられるものではない。家で中国語の勉強をやったりすることもあるのだが、ここのところさっぱり頭に入らない。体が嫌がっているのだろうか。調子の良いときなどは、会話の勉強までしてしまうのだが。ちょっとした表現を覚えることから語学の勉強はスタートする。今の状態は、初歩以前だ。こういう時に、新しい電子辞書を購入してやる気を出していたものだが、それにはまだ時間がかかるようだ。

それにしても、購入するものが無いのは深刻だ。手当たり次第、行きたいところだが、それでは満足感が無いので意味がない。ここは、じっくりと観察することしかないか。