瞳

その大きな瞳は、私の心の中の一片さえも見逃さないかのようだった。さすがの私もたじろいでしまったが、いくら疑われてもウソは無いので私には後ろめたさは無かった。これからを見て欲しい。これから楽しくやって行こう、それだけを私は話した。

久しぶりに話をして、これまで何が悪かったのか、おぼろげながらわかった。これでは遅いのだが、永遠に気がつかないよりはマシだろう。仕事場でいつも見かける女性の笑顔。私と共に仕事をしてくれる女性達にも同じ笑顔があってもいい。しかし、これまであまり無かった。そこまで過酷な仕事であった。

仕事は楽しくないといけない、と私はよく「言葉」では言うが、簡単ではない。スケジュールの無い仕事など無い。仕事をする以上は、そのスケジュールが動き出せば、楽しさは薄れる。苦しい仕事、機械的でつまらない仕事、プリンターのお守り、と意欲を削がれるような仕事はいくらでもある。それらにめげることなく、どこかに楽しさを見いだしてやらなければ追いつめられる。

「時間がかかってもいいから、やって欲しい。」とは、私が今の仕事を始めた時に言ってもらった温かい言葉だった。私は、俄然やる気が出たものだった。今の私が、女性陣に語りたいのは同じ言葉だ。付け加えるとしたら、「女の能力を生かして」ということだ。女の能力とは、鋭い洞察力、分析力のことだ。

やる気の起きない、シンドイ仕事は、極力、私がやるようにして行こうと思う。最初からそうすべきだったが、私にもノルマがあり、手が回らなかった。しかし、今後は、私もノルマをこなしつつ、シンドイ仕事をやって行くようにしたい。そのようにスケジュールを組むということだ。もちろん、手当ても考えている。皆が楽しくなれる理想的なやり方は、あるのだ。