新思考

仕事とは、本来シンドイものなのかもしれない。ずっと、コンピューターを相手に仕事をしてきたので飽きることがなかったが、ここにきてシンドイと思うことも多くなってきた。去年は、暑かったこともあり、熱疲労でダウンしたほどだ。打ち上げを中座したこともあった。肉体的な疲労もあるのだが精神的なものが大きかったと思う。

新しい知識、冒険、研究。そんなものからほど遠い仕事の数年間だったと思う。それで済むのならば、このままずっと行けばいいのだが、当然のことながらそうも行かない。仕事には、進歩も前進も必要だからだ。金にならなくとも、知識を得るための出資は必要だし、研究時間も必要なのだ。今までは、忙しかったことを理由にどんな仕事をどのような体制を組んでやるかということを考えなかった。せいぜい自分がどう仕事をするかを考えたに過ぎない。

今、そのことのつけが来ようとしている。最初は、他ならぬ自分に襲いかかってきたのだが、次はお袋、パートナーという順に仕事起源の病気が襲いかかってきた。私は、お袋やパートナーの体調不良の詳細を聞くにつけ、他人事ではないと思わざるを得なかった。喘息はまだ発病していないものの、いつでも誰にでも発病しておかしくない病気だ。やる気が出ないという症状も私が東京に出て来て５年後くらいに経験した。あまりにもつまらない作業を繰り返しやらなければならず、そうなったのであった。借金もあったし、辞めるに辞められない状況も事態を悪くした。

パートナーは、絶体絶命の私を救ってくれた救世主のような存在だった。パートナーも私と同じくらいの時期にやる気が出ないという状況に陥っている。前もって、こういうことがわかっていたら何とか対処できていたのだが、私自身がテクノストレスとか、VDT症候群について疎かった。私としては、私が立ち直れたようにパートナーにも興味が持てることを発掘して一緒に行動して欲しいと思っている。いろいろと仕事以外に興味を持てることを探してみたのだが、空しい結果に終わっている。やはり、私もそうであったように仕事の中に見いださなければ難しいようだ。

私は、パートナーに興味を引く仕事を提供できなかったことを認めざるを得ない。パートナーが元気を取り戻すために今の仕事を辞めざるを得ないとしてもせめて、毎日が楽しくて仕方ないという状態になって欲しいのだが、そんな私がいる状況ではそもそも無理な話なのかもしれない。

私は、このまま手をこまねいてパートナーから三行半を突きつけられるのを待つしかないのだろうか。現実的には、今すぐ楽しくて仕方ないという状況、仕事を作るのは難しい。難しいのだが、計画や企画をしつつ未来を目指すことはできる。しかし、そんなことは、すぐに見透かされてしまうことだろう。私としては、「現実的」な話なのだが、今までできなかった私にこれから先、期待できるだろうかということだ。

仕事的には、女性の感性が必要な仕事なので、去るとしたら私の方だと思っている。私にあってパートナーに無いものはないかというと、ある。私もパートナーもまじめだが、私の場合、不まじめでもある。時には、なまけたり自分の欲望に忠実なこともあるのだ。パートナーの全生活を知っているわけではないのでその点はよくわからない。しかし、日頃の態度から無理をしているのではないのかと心配することがよくある。私の人間的な魅力のなさがパートナーを追いつめて行った可能性はあると思う。つまり、油断をするとつけ込まれると思わせてしまうのではないか。

パートナーと共に過ごす時間は、もしかするとわずかしか残されていないかもしれない。だが、それでも私は、未来を信じて日々愚直に生きて行くしかない。決して他人事ではないと思う。このまま私が変われないとしたら、それは確実に私自身の崩壊に結びつくと思う。やりたかったこともできないいままになるだろう。もし、変われたなら私のやりたかった多くのことは実現するだろう。一人でも多くの人に笑顔を、というのが今年の私のスローガンだ。